こんにちは。まよ(@josysnohito)です。
社内SEに転職を考えている人の不安要素としてよく挙がるのが、「社内SEは市場価値が低くて次の転職で困る」とか、「給料が安い」といった不安要素だと思います。
この記事ではそんな疑問をお持ちの方に向けて、社内SEの市場価値と給料の特徴についてご紹介します!
社内SEの給料が低いイメージを持たれる理由

一般的にIT業界はその他の業界よりも給与水準が高い
しかし社内SEはIT業界には属さない。一番の理由はこれだと考えます。
IT業界は平均年収が高く、非IT企業に属するユーザ企業の大半はIT業界よりも平均年収が低いのです。あくまで業界同士の平均年収を比べた場合、ですけどね。
実際、マイナビの「業種別平均年収ランキング」によると平均年収の高い業種TOP10の中に「IT/通信」に該当するカテゴリーが3業種も存在しています。(余談ですが、IT業界よりも年収が高い業種は金融機関ばかりですね)
引用:業種別平均年収ランキング
https://mynavi-agent.jp/helpful/income2020/industry/
なので脱IT業界となる社内SEへの転職は、相対的に給料が低くなるため、特にSIerから社内SEへの転職を考える人は社内SEの給料は安いと考えてしまいがちなのだと思います。
社内SEは特定の業界の業務知識を求められる
社内SEの採用ではシステム開発や保守に関わるスキルのみではなく、特定の業界の業務知識を持つ人材を求める傾向にあります。実際に求人を見てもこんな事が書いてありますよね。
【社内SEの求人の一例】
・システム開発、インフラ設計、システム保守のいずれかの経験がある方
・JavaまたはCobolによる開発・保守経験がある方
・金融業界の業務知識があると尚可
SIerから社内SEに転職するときにありがちな勘違いなのですが、社内SEの業務ってシステム開発ではなく、社内の業務要件を取りまとめて開発者に伝達することが主な作業になります。
つまり、社内SEには開発スキルよりも業務知識や調整能力が求められるのです。
よって上記のような求人だと1つ目、2つ目だけを満たしていても、3つ目の条件を満たしていないと戦力としては半人前以下なのです。即戦力ではないとなると当然給与水準も下がります。
そのため、自分が全く経験のない業界の社内SEを目指そうとするとどうしても現職の給料を維持することは難しくなります。この傾向は30代以降の転職だと更に顕著になります。
対策として、SIer時代に経験した顧客の業界の社内SEのポジションを狙うことで、この状況を避けることができますよ。
社内SEをコスト要員として扱う企業の存在
このパターンの企業、一定数存在します。特に中小企業の社内SE求人に多い。
企業の意思決定層が情報システムの価値を理解できておらず、システム投資によって大きく利益を上げた成功体験をほとんど持っていない場合、社内SEは必要最低限の社内インフラを整えるためのコスト要員として扱われることがあります。
本当はシステム投資する事によって大きくコストを下げる事もできるのですが、そんな余裕がない企業は投資ではなく人件費削減によってコスト削減をしようと考えてしまいます。
その結果として採用段階で社内SEの給与水準を低く抑えたがりますし、入社後も年々給与を上げていくとコストが増えて行くことになるので、なかなか社内SEの給与をあげようとしないのです。
社内SEの市場価値と年収は本当に低いのか?

ということで少し社内SEの給与水準についてネガティブな内容をご紹介しましたが、社内SEでも給与の高いポジションはいくらでも存在します。
私も社内SEへ転職した際は年収を約80万円上げての転職を実現していますし、SIerから社内SEに転職した複数の友人の話を聞くと大半の人が軒並み現職以上の年収をキープしていますし、業界内で何度も転職している人も多数います。
なので決して社内SEの市場価値や年収が低いとは思えないんですよね。
というとで今度は社内SEの事情価値や、どういう考え方で転職すれば社内SEになりながらも年収を上げる事ができるのかご紹介します。
社内SEの市場価値について
まず社内SEの市場価値は本当に低いのか問題。これはIPAが作成した「IT人材白書2020」を見ながら社内SEの需要を考えてみたいと思います。
「IT人材白書2020」によると、ユーザ企業においてIT人材が「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した企業は9割以上にも及び、IT人材不足を訴える企業は年々増加しています。
引用元:IT人材白書2020
https://www.ipa.go.jp/files/000085256.pdf
実際転職サイトを眺めて見ると社内SEの求人はいつ見ても星の数と言えるほど募集がなされているように感じます。
ユーザ企業でそれだけ人材が不足しているということは、そこで働く社内SEの求人がそれだけ多く、市場価値が高いということが言えるでしょう。
ただ逆に言うと、人材が不足しすぎているということは、企業側もシステム関連業務経験者なら妥協して誰でも採用してしまう可能性も高いということです。微妙な人材に内定を出すときは当然提示する年収も微妙な金額になりがちです。
なので求人倍率に甘えずに企業が求めている人材と自分のスキルや経験を棚卸しした上で、できるだけ両者がマッチする企業に転職することで高い給与水準を勝ち取りやすくなるのです。
社内SEの給与水準はこうして決まる

とはいえどんなに企業の求める人物像と自分の経験やスキルが一致していていたとしても企業が支払える年収は企業毎に異なる。
社内SEの給与水準は以下の順序で決まる傾向にあります。
属する企業の平均年収との相関
なんだかんだ日系企業の給与テーブルって職種ごとに作られていません。
転職の際は前職の年収や社会人経験年数を参考に、その企業で同程度の年数の経験を積んだ社員と大きく年収の乖離が発生しないようにうまいこと調整されます。
つまり、年収の高い企業の社内SEは給与水準も高く、年収の低い企業の社内SEは給与水準も低いものです。
自分のスキルと企業の求めるスキルとの一致具合
上記の前提の次に考慮されるのが求めるスキルとの一致具合です。
自社で同程度の年数を積んだ社員と同程度以上のスキルを保有していると判断されれば社内の水準以上の年収を支払いますし、それ以下だと思われればワンランク低い年収での採用となります。
つまり、社内SE職で高い報酬をもらうためには

給与水準の高い企業へ転職しよう
先述の通り社内SEの企業はどの会社で働くか次第で大きく変わります。
同じような仕事をしていたとしても業績がよくて給与水準の高い企業で働く社内SEは給料も高いですし、業績が悪くで給与水準も平均以下の企業で働く社内SEはどんなにスキルがあっても高い報酬をもらうことはできません。
ですので、給与水準の高い企業の社内SE職を狙ってください!
自分がどの業界に特化するか決めておこう
社内SEには開発スキルよりも業界の業務知識が求められるため、一度社内SEに転職すると同業界内での転職はSIer出身以上に有利になりますが、全く畑違いの業界の社内SE職への転職は難易度が上がります。
例えば、銀行で社内SEをやってる人が他の金融機関の社内SE職に転職することは容易ですが、金融機関で得た専門知識を活かせない食品業界や鉄道業界に転職するのはなかなかハードです。
ですので、ITの世界に特化すると自分がどの業界に精通した社内SEになるかしっかりと考えておくことが大切ですよ。私は、SIerから社内SEへ転職するということは、3つのキャリアの考え方の2つ目のステップに進むというこなんじゃないかなと思っています。
引用元:3つのキャリアを掛け算して100万分の1の人材になるx
まとめ、社内SEは決して給料の安い職業ではない!
ご紹介した通り「自分がどんな社内SEになりたいか?」の方向性を見誤らなければ決して社内SEは給料の安い職業ではありません!それだけではなく、業界知識を身に着けながら発注者の立場で主体的に仕事ができるやりがいに満ちた仕事ですよ。
そして、万が一転職に失敗してもSIer出身者なら再転職が容易です。実際SIerから社内SEになってやっぱりベンダ側の立場が好きだからSIerに戻る人だってたくさんいます。
市場価値が下がるという情報を鵜呑みにせず、安心して転職活動を進めてみてください!