こんにちは。まよ(@josysnohito)です。
最近はIT業界志望者が増えてきていますよね。
文系出身者でも、全く畑違いの業種からの転職でも、エンジニア不足の昨今は求人が多々あるのがIT業界なので、選り好みさえしなければIT業界志望者が転職先に困ることはかなり少ない。
とはいえ未経験でIT業界を目指す人が、いきなりNTTデータや日立や富士通、IBMやアクセンチュアといった有名なIT企業に入るのは流石に難しい。
なので、未経験者がIT関連業務に転職する場合は、いわゆる「SES企業」に入社するか、全くIT業界と関係のない一般企業のIT部門で「社内SE」を目指すか、どちらかが選択肢になってくる。
で、どっちに行くべきなのか。結論から言うと、
将来的な転職を前提に、まずはSES企業に行くべし!
と私は考えています。
でもSES企業の黒い噂を聞いて躊躇する人は少なくないかも。実際、業界経験者の感覚的に、SES企業の黒い噂の半分くらいは正しかったりするので。
それでも未経験者が敢えてSES企業に行くべき理由をご紹介します。
IT業界未経験者が、まずSES企業へ行くべき理由
「SES企業って評判悪いじゃん!だったら最初からまったりな社内SEにでもなりたい!」と思っているそこの貴方。その考え方は正しいです。
でも、未経験で社内SEになってもまったりできません。むしろ周りが何言ってるかわからないし、自分が戦力になれないストレスが溜まるはず。
なので、”一旦”SES企業に行くべきなのです。
その理由をいくつかご紹介。
SES企業は、強制的に貴方を現場に売り込んでくれます

SES企業あるあるなのが、数カ月程度の研修を終えただけの新人を「○○言語の経験者です!」みたいな形で客先に売り込む手法。
つい数ヶ月前までプログラミングを組んだことがない人に、当社は研修体制が充実しています!とか言って基礎の基礎だけ学ばせて、いきなりプロとして客先常駐させられる。そんなことが日常茶飯事な世界。
でもぶっちゃけ顧客を騙しているようで、実はこの手のエンジニアを受け入れる側の顧客側もある程度この”業界の慣習”を理解している。
だから経験者と言われても過度な期待を込めずに見てくれる。エンジニア不足の昨今、スキルセットが完璧なエンジニアばかりを調達することは不可能なのだから。
なので、SES企業に入社すると自分で営業しても絶対に入り込めないような案件に入り込むことができる。
老舗のSES企業に行けば行くほどこの傾向は顕著だったりします。
最初は怖いかもしれないけど大丈夫。流石に新人単品で常駐させることはほとんどなくって、ベテランエンジニアと新人を抱き合わせで常駐させるケースが大半だから。
なのでそのベテランエンジニアとさえ上手く付き合うことができればなんとかなる。
そもそも顧客側もベテランエンジニアは絶対に手放したくないのだから、抱き合わせで売り込まれた貴方だけを簡単には切ることはない。
このように、良くも悪くも強制的に技術を磨く機会に恵まれます。
SES企業は、製品改良ではなく、技術を磨くことが求められます
SES企業は自社製品を持たず、エンジニアの労働時間を商品として取り扱っています。
(実際には、純粋なSES企業より自社製品を持っている企業の方が求職者に人気のため、小さなSES企業でも申し訳程度の自社製品を持ってたりする。その製品の開発をしているSEはほぼいないけど。)
なので、自社の商品をどれだけ良くしようかではなく、貴方自身のスキルを少しでも高めることが求められる。そのほうが客先に高く売れるのだから。つまり持ち出し可能な自分自身のスキルを磨くことができる。
そんな環境に3年もいるとそれなりのエンジニアに育ちます。
この「それなりのエンジニア」にさえなってしまえば、IT業界の転職市場で引く手数多になる。やったね!!
SES企業は、資格を取れば取るほど評価されます

SES企業は大抵社員に対して資格取得を強く推奨している。
普通の企業でも資格を取ると奨励金をもらえたりするかもしれないけど、SES企業の場合、一時的な奨励金だけじゃなくて月給も上げてくれたりする。
その理由は、資格持ちは客先に高く売れるから。
若手エンジニアでも、経歴書に「基本情報技術者保有」とか書いておくと、とりあえず顧客に安心される。OracleMasterとかCCNx(CISCO関連資格)とかAWS関連資格を書いておくと、その製品を採用している企業にならまず売れる。
そんな理由で、SES企業の社員ってめっちゃ資格持ってる。大手SIer社員ですら躊躇する情報処理技術者試験の高度資格とか持ってる人もちらほらいる。
このように、SES企業から見ると社員が資格を取ることのメリットは非常に大きい。そしてもちろん、社員側から見ても資格を取っておくと将来的な転職に役立つので、資格取得を後押ししてくれる環境は大きなメリットです。
このような環境で数年働くと、気がついた頃には転職市場において非常に需要の高いエンジニアになっているはずです。
【注意点】SES企業に行く前に認識しておく点

ここまで、SES企業に入社するメリットとして、
・自力では入り込むのが困難な案件に入り込み易く
・自社製品ではなく自分のスキルを磨くことが強く求められ
・資格取得も奨励されるので、転職市場価値が自ずと上がる
ということをご紹介しました。一方で注意点もある。具体的には、
・SES企業は、給料が30代で頭打ちになる
・SES企業は、どんなに出世しても大手SIerの若手に振り回される
という2点です。それぞれ補足します。
SES企業は、給料が30代で頭打ちになる。
SES企業の場合、30代で給料が頭打ちになります。
理由は単純で、大半のエンジニアの開発スキルは30代で頭打ちになるから。
そうなると顧客から貰える単価も30代で頭打ちになり、それを原資とする給料も頭打ちになる。
だったらこれまでの経験を活かしつつマネジメント寄りのスキルを磨いてマネージャーになればいいじゃん!って意見もあるかもしれない。
でも客先常駐エンジニアには、自社の要員を管理する最低限のマネジメントスキルしか求められない。プロジェクト自体のマネジメントは顧客がやるので。そもそもマネージャーって単価が高くて嫌厭される。
自社の管理業務をやろうにも、外から入ってくるお金は結局「客先常駐させた社員の単価」なので、そこから中抜きするにも限界がある。
よってSES企業は30代以降の給料が上がりにくいのです。
もちろん40代以降でも自己研鑽して技術を磨き続ける人はいるよ。でもそういう人も会社員である以上会社の給与規定に縛られるので、フリーランスにでもならない限り磨いた技術分の給与を得ることは難しいのが現実。
SES企業は、どんなに出世しても大手SIerの若手に振り回される
多重請負構造になっているIT業界では、プロジェクト内での立ち位置が、経験値の高い順ではなく、どの会社に所属しているかで決まります。
例えば、
・プロジェクトマネージャ:顧客側の管理職
・プロジェクトリーダー:顧客側の若手〜中堅社員
・技術支援する有識者層:SES企業のベテラン or 顧客側の技術職
・実際に作業する担当層:SES企業の要員 or 顧客側の新人
といったように、上位のポジションは原則として責任を取る立場の顧客側からアサインされるため、SES企業で経験を積んでもPMやPLの業務はなかなか担当できない。
一方で大手SIerの社員だと3〜5年目くらいでPLに抜擢されたりする。SES企業の要員はどんなに頑張っても彼らの上に行くことはできない。彼らの方が仕事ができないのに。
このように、SES企業にいると社内でどんなに出世しても実際の開発現場で上位のポジションに上がることができないというデメリットがあります。
逆にSES企業の人にPM/PLを任されるってことは、そのプロジェクトは丸投げかもしれないから気をつけたほうがいいぞ!
メリットとデメリットを紹介しましたが

このように、SES企業は一定年数所属して開発スキルと経験を蓄えるのには適した環境なのです。でも骨を埋める環境としてはおすすめしません。
長く所属すれば所属するほど愛着が湧いて来て辞めにくくなるかもしれないけど、数年働いてより上位の企業に転職するのがおすすめなのです。
IT業界で忌み嫌われるSES企業だけど、そこで働いている経験って案外馬鹿にならない。
立場上言われたことだけやりますマンになりがちだけど、ほんのちょっとユーザ目線を持つだけで、転職市場で引く手数多になる。
でも不思議なことにSES企業のエース社員ってなぜか転職しようとしないよね(´・ω・`)
— まよ (@josysnohito) July 9, 2021
自社のエース社員見てると、「自分に転職なんて早い…」と思うかもしれないけど、SES企業のエースなんて辞めるに辞められない状態になってるだけだからね。
転職の目安はベテラン社員と抱合せ販売がされなくなった頃。つまり自分一人の力で売り物になり始める頃です。
その頃には十分に転職市場で通用するようになってるから!躊躇せず自分のスキルを正しく評価してもらえる環境へ転職するといいよ!!
まとめ、未経験からSES企業へ転職して、社内SEを目指そう!

個人的に、社内SEはキャリアのゴールだと思っています。なぜならSIerに発注するのは非IT系の一般企業であり、発注者としてIT業界の多重請負構造の最上位で仕事ができるから。
そんな社内SEへの転職も、SES企業である程度経験を積めば簡単に実現できたりします。
転職は本当に悩みます。私も2回転職していますがどちらも悩み悩み抜いての転職でした。
ただ、直近の転職だけをターゲットに悩まないで欲しい!理想の環境に行くためにはスキルが必要で、そのスキルは必ずしも1度の転職だけで身につくとは限らないのだから。
次の次を見据えて、行動するのがおすすめですよ!!